9月8日は「国際識字デー」です。
1965(昭和40)年のこの日、イランのテヘランで開かれた世界文相会議で、イランのパーレビー国王(当時)が各国の軍事費の一部を識字教育に回すことを提案したことを記念して、ユネスコが定めました。
「識字」とは、文字を読んだり書いたりする力のことです。
しかし、単に文字を読めるだけではなく、文字を通して必要な情報を得たり、自分の考えや気持ちを伝えたりするための大切な力でもあります。
現在も、戦争や貧困などにより、読み書きができない大人や学校に通えない子どもが世界中に多くいます。
この国際識字デーをきっかけに、文字を学ぶことの大切さや、一人ひとりの学びを支えることについて考えてみませんか。
今回は、そうした学びの大切さを描いた絵本 『ありがとう、フォルカーせんせい』(パトリシア・ポラッコ/作・絵、香咲弥須子/訳、岩崎書店、2001)をご紹介します。
この物語は、作者パトリシア・ポラッコの自伝的おはなしです。
トリシャは、文字を読むことができないことで、周囲から「できない子」と見られ、自分自身でも自分を否定するようになってしまいました。
しかし、フォルカー先生はトリシャの可能性を信じました。
そして、トリシャに必要なのは「もっと頑張りなさい」と責めることではなく、その子に合った学び方を見つけ、安心して学べる環境をつくることだと示してくれます。
この物語から、私たちは、文字を学ぶ機会がすべての人に保障されることの大切さについて考えることができます。
また、「できない」という結果だけを見るのではなく、なぜできないのか、どんな支援があればできるようになるのかを考えることも教育には大切だと分かります。
そして何より、 《誰かに信じてもらうことが、人の大きな力になる》 ことを教えてくれる作品です。
フォルカー先生が 「あなたならできる」 という思いでトリシャを信じ続けたことが、トリシャの心を支え、もう一度学んでみようという気持ちにつながっていきます。
国際識字デーにこの絵本を読むことは、「文字を読めることは当たり前なのだろうか」「学ぶ機会をすべての人が持っているだろうか」「私たちは、学ぶことに困っている人にどんな支援ができるだろうか」と考えるきっかけになります。
『ありがとう、フォルカー先生』は、識字の大切さだけでなく、一人ひとりの学び方の違いを認めること、子どもの可能性を信じること、そして、誰かに支えてもらうことで自信や希望を取り戻せることを教えてくれる物語です。
9月8日の国際識字デーを、この絵本とともに「学ぶこと」や「人を支えること」について考える一日にしてみてはいかがでしょうか。


