今日は、『世界翻訳の日』です。
翻訳家など言語の専門家の仕事に敬意を表する機会とすることを目的として国際翻訳家連盟によって制定されました。
日付の由来は、キリスト教の聖職者・神学者で聖書をラテン語訳したことで知られるヒエロニムス(347年頃~420年)が亡くなった日にちなんでいます。
また、この日は日本では一般社団法人・日本翻訳連盟により『翻訳の日』に制定されています。
『世界翻訳の日』と似ていますが、翻訳に関わる人々の活動を広く浸透させ推進することを目的としています。
ヒエロニムスはキリスト教の最初期に形成された教会であるアンティオキア教会の教父で、四大ラテン教父の一人とされています。
382年頃、ローマ教皇の要請で、それまでのギリシア語聖書から新約聖書のラテン語への統一を行い、さらに旧約聖書もギリシア語およびヘブライ語の原典からラテン語訳しました。
翻訳は、言語の異なる各国を結び付け、対話・理解・協力を促進し、発展に貢献し、世界の平和と安全を強化する上で重要な役割を果たします。
また、専門的な翻訳は、国際的な公の会話などの意思疎通において、正確性や生産性を保つためにも必要不可欠です。

そんな『世界翻訳の日』である今日紹介するのは、『本当の翻訳の話をしよう』(村上 春樹/著、柴田 元幸/著・スイッチ・パブリッシング・2019)という本です。


作家であり翻訳家でもある村上春樹さんと、翻訳家・柴田元幸さんが、翻訳や海外文学について語り合った対話集です。
二人がどんな翻訳を読んできたのか、翻訳するとはどういうことなのか、そして小説を書くことと翻訳することにはどんな関係があるのか――。
文学をめぐる二人の会話から、普段はあまり意識することのない「翻訳」の世界が見えてきます。


この本を読むと、翻訳とは外国語を日本語に置き換えるだけの仕事ではないのだと感じます。
原文に書かれている言葉の意味だけでなく、その言葉が持つ雰囲気やリズム、文化的な背景まで読み取り、それを日本語でどのように伝えるかを考える。
翻訳者は、作品と読者の間に立つ「橋」のような役割をしているのだと思いました。
普段、海外の小説を読むときには、翻訳された文章を自然な日本語として受け取っています。
そのため、一文一文が翻訳者の選択によって生まれていることを意識することはあまりありません。
しかしこの本を読むと、「なぜこの言葉が選ばれたのだろう」「原文ではどんな表現だったのだろう」と、翻訳そのものにも興味が湧いてきます。

翻訳は、知らない国の物語や文化を、私たちの身近な言葉で届けてくれる大切な架け橋です。
物語の向こうにいる作者と、私たちのもとへ届けてくれた翻訳者。
二つの言葉の世界をつないでくれる人の存在を知ることで、読書の楽しみはさらに広がっていくかもしれません。

2026年
10月11日(日)
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