8月20日は、ハンガリーの建国記念日にあたる「聖イシュトヴァーンの日」です。
ハンガリーと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
ヨーロッパの中央に位置する国、ドナウ川、温泉、パプリカ……。日本から見ると、少し馴染みの薄い国かもしれません。

そんなハンガリーを知るきっかけとして紹介したいのが、『ハプスブルク家の歴史を知るための60章』(川成 洋/編著・明石書店・2024)です。

ハンガリーは、オーストリアやスロバキア、ルーマニアなどに囲まれた国です。
そして、その歴史をたどっていくと、ハプスブルグ家という巨大な王家に行き着きます。

ハプスブルグ家は、かつてヨーロッパ各地を支配した王家です。
16世紀、ハンガリー王国では王位継承をめぐる混乱の中で、ハプスブルグ家のフェルディナント1世がハンガリー王となりました。
その後、ハンガリーはオスマン帝国との争いの舞台となりながら、ハプスブルグ家との関係を深めていきます。

そして1867年、オーストリアとハンガリーの間で「アウスグライヒ(妥協)」が成立し、オーストリア=ハンガリー帝国が誕生します。
ハプスブルグ家の君主を共通の皇帝・国王としながら、ハンガリーは大きな自治権を持つ国となりました。

つまり、ハンガリーの歴史は、ハンガリー一国だけを見ていては分かりません。
ハプスブルグ家、オーストリア、そしてオスマン帝国などとの関係をたどることで、ヨーロッパの国々がどのように結びつき、争い、形を変えてきたのかが見えてきます。

一方で、ハンガリーには日本人が親しみを感じられる文化もあります。
たとえば、首都ブダペストは「温泉都市」として知られ、温泉を日常的に楽しむ文化があります。
遠く離れたヨーロッパの国で、日本と同じように温泉が人々の暮らしに根付いていることは、とても興味深いことです。

食文化にも特徴があります。
パプリカを使った料理はハンガリーを代表するものの一つ。
日本にも、その土地ならではの味や食文化があるように、ハンガリーにも長い歴史の中で育まれてきた食の文化があります。

こうして見ると、ハンガリーは単なる「ヨーロッパの中の一国」ではありません。
ハンガリー=東欧の一国というだけでなく、ハプスブルグ家を通してヨーロッパ史そのものにつながっている国なのです。

8月20日の聖イシュトヴァーンの日をきっかけに、この国の歴史や文化に目を向けてみませんか。
遠い国の歴史を知ることは、世界地図の空白を埋めることではありません。
今のヨーロッパがなぜこの形になったのか、そして異なる国や文化がどのようにつながっているのかを知ることでもあります。

「ハンガリーって、どんな国?」という小さな疑問から、一冊の本を開いてみてください。
そこには、ハンガリーだけでなく、長い時間をかけて形づくられてきたヨーロッパの姿が見えてくるはずです。

2026年
10月10日(土)
Weather
開館時間:10:00~19:30
月曜日休館