今日は、国民の祝日である「山の日」です。
「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨とし、2016年(平成28年)に施行された改正祝日法により新設されました。
国民の祝日に「海の日」(7月第3月曜日)があるなら「山の日」も、ということで、日本山岳会をはじめとする全国「山の日」協議会加盟諸団体を中心に運動が起こったことが制定のきっかけでした。
もともとは、お盆前の8月12日とする予定でしたが、日航機墜落事故が起きた日であるとして反対され、8月11日となりました。
そんな山の日におすすめするのは、『山と獣 焼畑と祭りにみる山村の民俗誌』という本です。
この本は、民俗学写真家・須藤功さんが、日本各地の山村を訪ねて人びとの暮らしを写真と文章で記録した本です。
日本観光文化研究所に所属し、全国の村を「あるく・みる・きく」ことを続けてきた須藤さんならではの視点で、昭和30~50年代の山村の「ふつうの暮らし」が描かれています。

表紙は何やら怖そうな雰囲気の本ですが、焼畑をはじめ、山の恵みを利用した暮らし、獣との関わり、祭りや信仰など、山とともに生きてきた人びとの生活が詳しく紹介されています。
写真に写る人の表情や、山村の風景を眺めながらページをめくっていると、そこに写っている人の声が聞こえてくるようです。
臨場感たっぷりの写真も、この本の見どころの一つです。
本書を読んでいると、「山」は単なる自然ではなく、食べ物を与えてくれる場所であると同時に、時には獣の被害をもたらし、人びとの祈りを受け止める場所でもあったことに気づかされます。
焼畑も祭りも、自然を征服するためのものではなく、自然と折り合いをつけながら暮らしていくための知恵だったのかもしれません。
現代では、身近で焼畑を実際に見る機会も、伝統的な地域の祭りに参加する機会も少なくなりました。
しかし、そこに残された知恵や願いは、地域の歴史を知る手がかりになります。
「昔の山村では、どんなふうに暮らしていたのだろう」
山の日である今日、そんな素朴な疑問から、山に関わる地域の歴史や文化について調べたり思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。


